障害者で就職・転職を考えている人のなかには「自分が働ける場所がない」と自信を失っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、企業の障害者雇用は、少しずつではありますが改善されています。
厚生労働省「令和4年障害者雇用状況の集計結果」によると、2006年では1.52%だった障害者雇用率が、2022年時点で2.25%にまで上昇しています。
とは言え、決して多い数字と言えず「働く場所がない」と感じる方も多いでしょう。
そこで、本記事では「障害者にとって働く場所は本当にないのか?」「どのように就労活動を行うべきか?」について解説します。
企業の法定雇用率は年々増加傾向にある
障害者の働く場所は、年々増えていると言えます。
なぜなら、法定雇用率が年々高まっているためです。
法定雇用率とは、従業員が一定以上の企業に対して「一定割合以上の障害者を雇用する」と義務付けている制度です。
法定雇用率の推移は以下のとおり。
- 2013年4月:2.0%
- 2018年4月:2.2%
- 2021年3月:2.3%
- 2024年4月:2.5%
- 2026年7月:2.7%
上記の雇用率を満たしていない企業は罰金やペナルティが課されるため、今後はより障害者の働ける場所は増えていくと予想されます。
障害者の働く場所が生まれにくい理由
法定雇用率は年々高まっていますが、決して障害者にとって多くの働く場所があるわけではありません。
これは、企業側の準備が整っていないためだと言えます。
多くの企業が、以下のような問題を抱えているのです。
- 雇用後にどのような仕事を任せて良いかわからない
- 離職率が高い
- 従業員からの理解を得にくい
- 企業規模が小さい
- 環境整備が難しい
それぞれの理由について、以下で具体的に解説します。
雇用後にどのような仕事を任せて良いかわからない
障害者雇用の主な課題は、企業が適切な業務配置を行えないことです。
しかし、多くの企業は障害者の能力を過小評価し、実際には可能な仕事を見逃しています。
例えば、身体障害があってもパソコン作業ができ、知的障害があっても定型作業は可能です。
この状況を改善するには、企業側の理解向上と、障害者自身によるスキルのアピールが重要です。
離職率が高い
障害者雇用において、高い離職率が採用を躊躇させる要因となっています。
企業は長期就業を望む一方、障害者の離職が多いため、採用に消極的になってしまうのです。
主な離職理由は「職場の人間関係、労働条件への不満、不適切な仕事内容」です。
解決策として、障害者は長期就業の意思をアピールし、企業は障害特性を理解して適切な職場環境と業務を提供することが大切です。
従業員からの理解を得にくい
障害者雇用に対する社内の理解不足が、雇用促進を妨げています。
多くの企業が法的義務や罰則回避といったネガティブな理由で障害者雇用を説明するため、従業員の積極的な関与を促せていません。
とくに、「法律で定められている」「納付金を払いたくない」「行政指導を避けたい」といった説明が多く見られます。これでは従業員の関心を引き出せません。
これらの問題を解決するには、企業側が障害者雇用の社会的意義や職場への良い影響を強調する必要があります。
企業規模が小さい
小規模企業では障害者雇用が進みにくい傾向にあります。
規模が小さいほど従業員に多様な業務や専門性が求められ、障害者雇用のハードルが上がるためです。
厚生労働省の調査によると、企業規模と障害者雇用率には明確な相関関係があり、従業員1,000人以上の企業のみが法定雇用率を達成しています。
この課題を解決するには、企業側が障害者の適性や特性をよく理解し、障害者自身も自らのスキルを積極的にアピールすることが大切です。
環境整備が難しい
障害者雇用が進まない一因に、職場環境の整備の難しさがあります。
障害者が働きやすい環境を整えるには、一定の経済的負担が必要となるからです。
例えば、バリアフリー化や特殊機器の導入など、障害の種類や程度に応じた設備投資が求められます。
しかし、この課題に対しては政府の支援策があります。
企業は障害者雇用のための環境整備に活用できる各種助成金制度を利用し、経済的負担を軽減しつつ、適切な職場環境を整えることができます。
障害者が働く場所を見つけるために準備すべきこと
障害者が働く場所を見つけるためには、自身の準備も必要です。
障害者自身が企業にしっかりと伝えるべきことを伝えておかなければ、働く場所は生まれません。
そのために、以下の準備をしておきましょう。
- 主治医による診断
- 精神・体力的な余裕
- スキルの棚卸
それぞれが必要な理由について、以下で解説します。
主治医による診断
障害者が就労に向けて準備すべき重要なステップは、医師による就労可能性の診断です。
これにより、自身の健康状態と就労の適合性を客観的に把握できます。
主治医が就労可能と判断すれば、雇用側の安心にもつながります。
精神・体力的な余裕
障害者の就職・転職成功には、精神的・体力的な余裕が不可欠です。
これらの余裕があってこそ、効果的な就職活動が可能となり、長期的な就労につながります。
企業側も応募者の精神面・体力面の安定性を重視しているため、これらの準備は採用可能性を高めます。
スキルの棚卸
障害者の就職・転職成功には、自身のスキルと経験を明確に把握し、アピールすることが重要です。
企業は障害内容だけでなく、応募者の能力や適性を総合的に判断します。
そのため、過去の業務経験やスキルを詳細に洗い出し、自己PRに活用できる要素を特定しましょう。
次に、自身の障害特性や性格を考慮しつつ、希望する企業でどのような貢献ができるかを明確にします。
これにより、企業に対して具体的かつ説得力のあるアピールが可能になります。
「働く場所がない」と一人で抱え込むのはNG
どれだけ就職・転職の準備をしても、「自分には働く場所がない」「特別なスキルもない」と落ち込んでしまう方もいるかと思います。
そんなときは、一人で抱え込まずに相談相手を見つけてください。
障害者の就職・転職活動で最も重要なのは、一人で抱え込まないことです。
一人で闇雲に活動を続けると、自身の弱点や改善点を見逃しやすく、就職・転職に失敗するたびに落ち込んでしまいます。
これらの問題を解決するために、相談できる相手を見つけて、第三者の視点を取り入れるようにしましょう。
障害者向けの主な就職支援期間
障害者の就職・転職成功の支援機関としては、以下のようなものがあります。
- ハローワーク
- 地域障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター
- 難病相談・支援センター
- 就労移行支援事業所
- 障害者向け転職エージェント
これらの機関は障害者の就労事情に精通しており、適切な職場選びから面接対策まで、きめ細かなサポートを提供してくれます。
一人で悩まず、専門家の支援を受けることで、働く場所を見つけられます。
どこに頼っても働く場所が見つからないと悩んでいるなら
障害者の就職・転職で、どこに相談してもスムーズに進まないと感じたら、株式会社U三にご相談ください。
株式会社U三は、身体障害者の就職・転職・キャリアアップ支援に特化した人材紹介会社です。
代表自身も義足ユーザーであり障害を持つ当事者ですので、経験を踏まえてどこよりも寄り添った支援を行います。
就職・転職サポートの流れについては、以下のページをご確認ください。
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