障害者雇用で社内ニートを生み出す原因と実情

障害者雇用で社内ニートを生み出す原因と実情

障害者雇用では、社内ニートが生み出されるケースがあります。

社内ニートとは、与える仕事がなく、労働者に暇な時間を作り出してしまう状態です。

これらの原因のほとんどは企業側にあります。

そこで今回は、障害者雇用で社内ニートを生み出す原因と対策について、解説します。

目次

障害者雇用の社内ニートが進む企業側の原因

障害者雇用の社内ニートが進んでしまう原因をまとめるのであれば「どうしていいかわからない」が大きいと考えられます。

厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」によると、障害者雇用の課題として以下のような回答がありました。

  • 雇用をするイメージやノウガウがない
  • 従業員が障害特性について理解することができるか?
  • 採用時に適正、能力を十分に把握できる?
  • 会社に適当な仕事があるか?
  • 労働意欲・作業態度に不安
  • 給与・昇給昇格等の処置をどうするか?
  • 勤務時間の配慮が必要か?
  • 配置転換等人事管理面での配慮が必要か?
  • 通勤上の配慮が必要か?
  • 業務内容・労働時間等に関し家族への配慮が必要か?家族からの理解が得られるか?
  • 長期休業した場合の対応をどうするか?
  • 設備・施設・機器の改善をどうしたらよいか?
  • 職場の安全面の配慮が適切にできるか?
  • 作業能力低下時にどうしたらよいか?
  • 職場定着上の問題について関係機関等外部の支援を得られるか?
  • 職場復帰のための配慮をどうするか?
  • 仕事以外の生活面等の問題への対応が必要か?
  • 雇用継続が困難な場合の受け皿があるか?
  • 障害者雇用について経営トップの理解が得られるか?

これだけの課題をもちながら障害者雇用を進めているため「どのように扱うべきかわからない」「どのような仕事を割り振ってよいかわからない」などの悩みが生まれてしまいます。

その結果、対処方法がわからずに、社内ニートとなってしまうのです。

以下では、なかでもとくに大きな原因をピックアップして紹介します。

受け入れ体制の不足

障害者の社内ニート化は、企業の受け入れ体制の不足が主な原因といえます。

多くの企業が法定雇用率達成のみを重視し、障害特性に応じた適切な職務設計や支援体制を整えていない傾向にあります。

例えば、業務指導担当者が不明確なため、質問や指示が混乱し、障害者が孤立するケースがあります。

また、上司との意思疎通不足により、能力を活かせない状況も生じやすいです。

ですから、企業は単なる雇用数確保ではなく、障害者の特性を理解し、適切な業務環境を整備することが求められます。

障害者の特性とのミスマッチ

多くの企業が障害者の能力や経験を考慮せずに画一的な仕事を割り当てるためにミスマッチが起き、ニート化が進んでしまいます。

例えば、身体障害者と知的障害者に同じ単純作業を与えるケースがあります。

また、障害者に任せられる仕事自体が少なく、早く業務を終えても次の仕事がないことも問題です。

このような状況では、個人の特性やスキルが活かされず、能力を発揮できないままストレスが蓄積していきます。

結果として、社内ニート化が進行してしまいます。

障害者への過剰な配慮

企業の過剰な配慮が、意図せず障害者の社内ニート化を促進することがあります。

例えば、体調面を考慮して研修や会議への参加を免除したり、「無理しないでね」と声をかけすぎたりすることで、障害者が挑戦の機会を失うケースがあります。

このような配慮は、一見親切に思えますが、実際には障害者の成長や活躍の場を制限してしまいます。

結果として、本人が遠慮して一歩引いてしまい、能力を発揮できない状況に陥ります。

障害者雇用で社内ニートになった方の気持ち

障害者雇用で社内ニートになった方の気持ち

障害者雇用で社内ニートになることは、障害を持つ方自身も望んでいる選択ではありません。

やりがいを感じられず、漠然とした不安を抱える方もいます。

企業側は、ぜひ障害者側の本音にも目を向けてみてください。

やりがいを感じられない

多くの障害者雇用者が、やりがいを感じられない日々に悩んでいます。

期待していた仕事と現実のギャップが大きく、単調な作業の繰り返しや能力を活かせない仕事に従事することが多いためです。

例えば、データ入力だけを一日中行う、または簡単な書類整理のみを任されるといった状況があります。

このような環境では、スキルアップの機会もなく、将来のキャリア展望も描きにくくなります。

結果として、社会人としての充実感が得られず、モチベーションの維持が困難になっています。

周囲の目が気になる

社内ニート状態になった障害者の多くが、周囲の目を気にして心理的負担を感じています。

仕事が少ない中、健常者の同僚が忙しく働く姿を見て、居心地の悪さや罪悪感を抱くことがあります。

例えば、デスクで手持ち無沙汰にしている自分と、会議や電話で忙しそうな同僚との対比に苦悩する場面があります。

また、「楽でいいね」などと言われると、特別扱いされていることへの違和感をもってしまいます。

障害者雇用で社内ニートになった方の実情

今回、障害者雇用で社内ニートになった方の本音を調査していくうえで、とても参考になる「note」を見つけました。

障害者雇用のリアルな本音として参考になりますので、ぜひ読んでみてください。

障害者雇用でほぼ社内ニートになった
https://note.com/quick_pony7289/n/n8887fdbc7d7a

社内ニート対策は採用から始まる

社内ニート対策は採用から始まる

障害者雇用で社内ニートを生み出さないためには、採用面から考える必要があります。

採用時点でスキルマッチができていれば、社内ニートとなる可能性は極めて低くなります。

例えば、車いす利用者であってもwebマーケティングのスキルがあるならば、マーケティング部署に配属してもらい、そのスキルを最大限に活かしてもらえます。

障害者本人も自身のスキルを活かせる場であるため、やりがいを感じられるでしょう。

障害者側から伝えることも大切

採用時に、障害者側から企業へ想いやスキルを伝えることも大切です。

上記でも紹介したように、「どのように対話して良いのか?どこまで配慮して良いのか?」と悩んでいる企業が多いのが実情です。

そのため、障害者側から

  • このようなスキルをもっている
  • 障害者ではあるが、こういった形で活躍していきたい
  • 自身の障害は、Aには対応できないが、Bであれば健常者と問題ない

などと伝えてあげると良いでしょう。

これにより、企業側の理解が深まり、リアルな働き方をイメージしてもらえます。

企業側も障害者側も社内ニートにならないための対策を

企業側も障害者側も社内ニートにならないための対策を

障害者雇用で社内ニートにならないためには、企業側、障害者側、両者の配慮が必要です。

両者が理解しあえれば、企業側にとっても戦力となる人材を採用でき、障害者側もモチベーションが向上するような働き方ができます。

弊社では、障害者雇用のサポートを行っています。

企業側、障害者側、両者のお悩みを相談いただけますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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