障害者の雇用が推進される中、その平均賃金や年収の低さについて疑問を感じる人もいるのではないでしょうか。
そこで、本記事では障害者の平均賃金や年収について解説します。
さらに、収入を高める方法についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
ただし、障害者の収入は、働き方、雇用形態、職種、障害の種類や程度など、さまざまな要因によって影響を受けます。
以下で紹介する平均年収や賃金は、あくまで一つの目安としてください。
障害者の平均月収は?
障害者の平均賃金は、障害の内容によって異なります。
以下では、厚生労働省の調査を基に、
- 身体障害者
- 知的障害者
- 精神障害者
- 発達障害者
それぞれの平均賃金を見ていきましょう。
(参考元:障害者雇用実態調査結果報告書|厚生労働省)
身体障害者の月収平均
令和5年度、障害者雇用実態調査結果報告書によると身体障害者の平均月収は23万5,000円になるそうです。
週所定労働時間別に見ていくと、下記のようになります。
- 30時間以上の勤務…月収平均26万8,000円
- 20時間以上30時間未満の勤務…月収平均16万2,000円
- 10時間以上20時間未満の勤務…月収平均10万7,000円
- 10時間未満の勤務…6万7,000円
知的障害者の月収平均
令和5年度、障害者雇用実態調査結果報告書によると知的障害者の平均月収は13万7,000円になるそうです。
週所定労働時間別に見ていくと、下記のようになります。
- 30時間以上の勤務…月収平均15万7,000円
- 20時間以上30時間未満の勤務…月収平均11万1,000円
- 10時間以上20時間未満の勤務…月収平均7万9,000円
- 10時間未満の勤務…4万3,000円
精神障害者の月収平均
令和5年度、障害者雇用実態調査結果報告書によると精神障害者の平均月収は14万9,000円になるそうです。
週所定労働時間別に見ていくと、下記のようになります。
- 30時間以上の勤務…月収平均19万3,000円
- 20時間以上30時間未満の勤務…月収平均12万1,000円
- 10時間以上20時間未満の勤務…月収平均7万1,000円
- 10時間未満の勤務…1万6,000円
発達障害者の月収平均
令和5年度、障害者雇用実態調査結果報告書によると発達障害者の平均月収は13万0,000円になるそうです。
週所定労働時間別に見ていくと、下記のようになります。
- 30時間以上の勤務…月収平均15万5,000円
- 20時間以上30時間未満の勤務…月収平均10万7,000円
- 10時間以上20時間未満の勤務…月収平均6万6,000円
- 10時間未満の勤務…2万1,000円
障害者の平均年収は上がっている傾向
障害者の平均月収を見てみると、一般的な社会人と比べれば比較的低く見えます。
しかし、過去の障害者の平均年収と比べてみると、年々高くなっているとわかります。
たとえば、平成30年と令和5年の平均年収で比べてみましょう。
厚生労働省の『平成30年度障害者雇用実態調査』では、障害者の平均年収は下記のようになっていました。
障害 | 平均年収 |
---|---|
身体障害者 | 258万円 |
知的障害者 | 140万円 |
精神障害者 | 150万円 |
発達障害者 | 152万円 |
(平均年収は、『平成30年度障害者雇用実態調査』を基に月収×12か月で計算)
さらに、下記で令和5年と平成30年度の年収を比べてみます。
障害 | 平成30年度の平均年収 | 令和5年度の平均年収 |
---|---|---|
身体障害者 | 258万円 | 282万円 |
知的障害者 | 140万円 | 164万円 |
精神障害者 | 150万円 | 178万円 |
発達障害者 | 152万円 | 156万円 |
それぞれに偏りはあるものの、平均的に15~20万円高くなっていることがわかります。
この状況を見る限りは、障害者の収入については改善がおこなわれているといえます。
障害者の年収は上がり傾向だが一般的な層と比較すると低い
障害者の年収は、年々上がっている傾向ではあります。
しかし、まだ一般的な層と比べると低いです。
下記は、国税庁の『令和5年 民間給与実態統計調査』による、男女の平均年収です。
- 男性…平均年収569万円
- 女性…平均年収316万円
障害者の場合、最も年収の高い身体障害者においても282万円なので、一般層と比べるとかなり低いことがわかります。
男性と比べた場合、約300万円ほどの違いがあるのです。
障害者の賃金や年収が低い理由
障害者の賃金や年収が低い理由としては、下記の3つが影響していると考えられます。
- 雇用形態の影響
- 職業や業務内容の限定
- 社会的な偏見や支援不足
つまり、当事者よりも障害者を取り巻く仕事に関する環境が大きいといえるでしょう。
以下で、それぞれが影響する理由について解説します。
雇用形態の影響
障害者雇用において、非正規雇用の割合が高いことは賃金や年収が低い主な原因の一つです。
非正規雇用は時給制であることが多く、勤務時間が短い場合、収入がさらに減少します。
また、ボーナスや昇給の機会が少ないことも、年収に影響を与えています。
職種や業務内容の限定
障害の種類や程度により、働ける職種や業務内容が限定されることがあります。
特に単純作業や軽作業が多い場合、業務の難易度や責任が低いため、賃金が抑えられる傾向があります。
これが賃金全体を引き下げる要因となっています。
社会的な偏見や支援不足
障害者の雇用において、企業が障害者の能力を正しく評価できていない場合があります。
また、支援体制が不十分な職場では、障害者が能力を発揮しにくい環境が生まれ、それが低賃金につながることもあります。
障害者が年収を上げる方法
障害者が年収を上げるためには、当事者自身の努力や就職(転職)活動の方法も関係します。
以下で主な2つの方法を解説しますので、参考にしてください。
スキル・資格を取得する
障害者であっても、スキルや資格があれば、年収が上がる可能性は高いです。
特化したスキルや資格があれば、会社の即戦力として重宝されるからです。
障害の度合いによっては、一般雇用と変わりない働き方もできるでしょう。
自分のスキルを活かせる会社とのマッチング
就職先や転職先の選び方も、障害者が年収を上げるうえで大切な要素です。
何か特化したスキルがあるにもかかわらず、それを活かせない会社に就職してしまえば、当然ながら賃金は高くなりません。
ですから、自分のスキルをアピールして業務内容とマッチングする会社を選ぶと良いでしょう。
自分のスキルとマッチングする会社が見つからない場合は、人材紹介サービスの利用を検討してみてください。
障害者でも高い年収を目指せる時代
残念ながら、2025年1月現在も、障害者雇用による賃金や年収は低い傾向にあります。
しかし、働き方や会社を選べば、障害者でも高い年収は目指せます。
とくに多様な働き方が認められている昨今では、障害者でも活躍できる可能性がより高くなってきました。
弊社でも、障害者の転職やキャリアアップのサポートをしていますので、ぜひご相談いただければ幸いです。
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